#五反野ビブリオ2022【01-誰かが足りない】

こんにちは!苅草学院五反野校です。
『読書の秋』企画・五反野ビブリオ2022より、第一弾をお届けします。

【誰かが足りない】
著/宮下奈都
出版/双葉社

『誰かが足りない』は、この企画にあたって、真っ先に紹介したいと思った本でした。というのもちょうど中学二年生の頃に初めて読んだからです。国語の教科書に載っている『羊と鋼の森』と同じ方が書いています。
ここでちょっと、想像してみてください。レストランへ行くとしましょう。そこには、客も店員もいます。ではなぜ客はここへ来たのか、どうして店員は働いているのか、わたしたちは知りもしない。そりゃあそうだ、と思うかもしれませんが、知らないことが当然だなんておかしな感覚です。よく考えると自分を知る人もいない、というのが、また不可思議ではありませんか。他人にとっては自分も他人。今、妙に手がそわそわして、少しずつどきどきしてきている方には、ぴったりな本だと思います。
当書で描かれているのは、普通なら届くことのない誰かの日常と、当たり前のこと過ぎて言葉にするのが難しい繊細な情景です。同じ世界にある、同じ人間という生き物の、全く違うおはなしがオムニバス形式で紹介されていくストーリーライン。足りない、というタイトルは、どこか突き放すような、淋しいイメージを持たせます。けれど、レストランに来たからには絶対に共通していることがあって、その安心感はずっと温かい料理の描写と共に傍にいてくれます。
70億分のたった6つ。自分にはない誰かの人生を、こっそり覗かせてもらいに行きませんか。

 

 

次回は9月6日投稿です。お楽しみに。